シングル・マザーが増えていると言われています。私の周りにも何人かそういう知人がいます。ただ、増えていると言われても、まさか私などに「こんどねえ、離婚しちゃったんだけどさ」とか、「もう別れたいんだけど」なんて気軽に(いや深刻に)相談してくる女性の知人は、今のところいません。FPの仕事として、そういう相談を受けたこともありませんので、実感が湧いてこないのです。
たまに、遺族年金と離婚分割年金とどちらが得かという問いがあります。この二つはまったく比較できません。なぜなら、遺族年金をもらえる(つまり、夫がまもなく死亡する)とわかっていたら、どんなにいやな夫でも別れないでしょう。現実問題として、遺族年金、生命保険、相続財産が入ってくるからです(借金があれば借金も)。相手とこの先、「一生、一緒だ」(ちょっと古いCMですが)と思うと、耐えられないから離婚するわけです。
離婚による年金分割は、平成19年4月と平成20年4月の2段階で実施されています。平成19年のほうは夫婦が合意により、婚姻期間中の2人の厚生年金の合計額を最高2分の1ずつに分けることができます(ただし夫の合意が必要)。
平成20年からは、厚生年金の分割割合(被保険者期間の受給資格割合)が自動的に2分の1ずつになりました。こちらは第3号被保険者(会社員・公務員の配偶者で主婦)のみが対象で平成20年4月以降の婚姻期間の分に限ります。もし、来年離婚しても、婚姻期間に該当する夫の厚生年金はほぼ1年分程度です。それ以前の分は、平成19年の制度に従います。
どちらにしても、たいしてもらえません。自分の基礎年金(月6.6万円)に数万円ほどしか元夫の年金分が入ってきません。しかも、実際に分割された年金がもらえるのは、離婚してすぐではなく、妻が老齢年金をもらう65歳からです。こういう現実が分かってきたからなのか、今年4月まで熟年(定年)離婚による年金分割が話題になっていましたが、世の女性は子どもを連れての独り立ちは難しいと悟ったのかもしれません。
こうしてみると、DV(家庭内暴力)や借金・浮気など、よほど耐えられないのは別として、少々我慢してでも別れたりせずにいたほうがいいように思えます。男は定年になると、ほんとうにだらしなくなるそうです。「濡れ落ち葉」のように、日がな、べたーっと畳の上に横に伸びて、平べったく貼りついているそうです。掃除機を向けても剥がれない。奥さんは、それで気が滅入ってしまう。でも、そんなのは最初から畳の上の「濡れ落ち葉」だと思って無視していればいいのです(私もいずれ、そういう仕打ちにあうのでしょうか・・・)。
そのうち、先に死ぬのはたいてい男ですから、残された財産と遺族年金で優雅(?)に自由に暮らせばいいのです。女、60、70はこれからです。老後は、いつまでも夫婦が「一生、一緒」ではないのです。そうは言っても、30代、40代で、まだ一生がずいぶん先まである人に、このままずーっと我慢しなさい、なんて言いません。その時は、シングルマザーのFPの知人をご紹介します。
2008.12.02