■契約初期費用がかからないのは得か
この保険は一時払終身保険ですが、契約初期費用がかかりません。ですから、一時払保険料がそのまま積立額となり、特別勘定の運用の対象となります。保険加入の初心者の方は、そんなのあたりまえでは、というかもしれません。じつは一時払いの変額保険や変額年金保険は、通常、最初の一括払込保険料から5%も初期費用として最初に引かれてしまいます。一時払いが1,000万円なら50万円です(2,000万円なら100万円)。申し込んだ時に、いきなり50万円(100万円)持って行かれるのは相当なものです。しかも契約時に直接支払うわけではないので、意識されにくいのです。
■85歳まで5%ずつステップアップ
この保険のもう一つの特徴は、保険金額が運用実績に応じて増えていくと、5%ごとに増えたところで、それ以降はその保険金額が最低保障額となります。たとえば、積立額が積立時に比べて105%、110%に達すると、以降はどんなに積立額が運用によって減ったとしても保障額は元金の105%、110%となります。このように、85歳になるまで5%刻みで200%までステップアップする可能性があります。
■保険に投資の「可能性」
この「可能性」というのがミソです。可能性というのは素晴らしい言葉で、未来を明るくさせてくれますが、この言葉は、実は投資の言葉です。200%の可能性というのは、元の金額の2倍ですから、仮に20年で元金を2倍にするためには、年3.6%複利の運用が必要となります。(「72の法則」から「3.6%×20年=72」で簡単に計算できます)。コンスタントに3.6%運用を20年続けたとして、めでたしめでたし、最初の1,000万円が2,000万円になります・・・。
■ところでコストは
コストをみると、積立金額に対して毎年2.95%かかります。これはほかの商品よりも高く、初期費用0%のツケがここにきています。ほかに、運用関連費用が年率0.21%かかります。つまり、毎年3.6%、20年の運用で元の2倍になるにはなるのですが、コストを差し引くと実質0.44%運用にしかなりません。0.44%を20年複利運用すると、元の1,000万円は約1,091万8,000円、20年で110%弱のステップアップ・・・。
■年金以降は最低保証なし
積み立てた金額は年金に移行できますけど、こちらは最低保証金額などありませんし、運用が下がったら下がりっぱなしの年金原資となり、年金管理費も年1%かかります。もちろん、「可能性」という美しい言葉によれば、年率10%、20%以上の運用もできうるとなります。でも、それではやはり、あくまでそうなる「可能性」ということでしかありません。
■ポートフォリオは平凡だが・・・
そこで、特別勘定の運用実績をみると、投資対象の組入れ比率は、日本株式、米国株式、欧州株式、中国株式にそれぞれ25%となっています。きわめて平凡なポートフォリオです。
運用開始(2010.06.22)以来の成績はマイナス5.14%。ユニット価格(運用開始時を100とした現在の指数)は94.86.
設定来、ステップアップした時期でも103~104%。まだ短期運用で可能性を摘んでしまうことはないのですが、運用に期待するのは特別勘定の運用実績をじっくり見てからでも遅くはありません。
保障が終身続き、その保障額が増えるかもしれない、年金にも移行できるし、初期費用もかからない(毎年かかる費用はあるけれど)、こんなに魅力的な保険はない、と思う人には向いているでしょうか・・・。
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【契約概要】
●契約年齢範囲: 20歳~75歳 ●保険期間: 終身 ●保険料払込方法: 一時払 ●基本保険金額: 200万円~5億円(1万円単位) ●保険契約関係費用: 積立金額に対して年率2.95% ●年金管理費: 年金移行特約を付加し、年金で受取る場合、年金額の1.0% ●特別勘定: VC世界バランス SMAM・グローバル・バランスVC6 (三井住友アセットマネジメント) 0.21%(税込) |