■ランキングに惑わされない
投資信託のリターンなどのランキングは金融機関などのサイトを見れば、数字上の成績は簡単に比較することができます。しかし、ランキングは短中期で大きく変化するものです。単にランキング上位の投資信託ばかり狙っていると、その都度投資信託を買い替えなければならず、成績も芳しくなくなり、コストも手間もばかになりません。
それよりも、
・期待するリターンに対して相応のリスクとなっているか
・投資信託の仕組みはわかりやすいか
・コストはそれなりに適当か
・無理な分配をしていないか
・近々の償還はないか
などを把握するほうが重要です。そこで、一般の投資者が自分でファンド選びができるよう、10のポイントを挙げてみました。(ただし、将来の収益を保証するものではありません。)
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以下の各項目について、同じカテゴリー資産(日本株式なら日本株式)の同種ファンドやカテゴリー平均と比較すると評価がしやすくなります。ファンド評価サイトなどを参考にしてください。
①【リターン】
トータルリターンの大きさ、累積リターンの変動を過去のインデックス(日経平均やTOPIXなど)やベンチマーク、あるいは同一カテゴリーの同種投資信託と比較することで、現時点での評価が可能です。
②【コスト】
①運用手数料(信託報酬)②購入手数料 ③解約手数料 ④信託財産留保額などのコストはマイナスのリターンです。リターンから確実に差し引かれるものです。特に投資信託を保有しているかぎり継続的に負担する信託報酬は重要です。同種の投資信託とコストを比較してみましょう。
③【リスク】
リスクは、一般にリターンのブレ(標準偏差)の大きさで現わされます。そして、リスクに見合ったリターンがどれくらいかを見るのが「シャープレシオ」です。標準偏差は小さく、シャープレシオは大きいほど運用効率が良いことになります。
④【 純資産総額 】
純資産総額が設定来あまり増えていないことは、投資信託の存続に関わってきます。また、急激な増加や減少は今後安定した運用が行われない恐れが出てきます。
⑤【 分配金】
分配金が適正に出されているか(分配金を出さないことが適正ということもある)。十分なリターンがないのに無理に分配金が出ているのは、元本そのものが削られている可能性があるということです。
⑥【仕組み 】
投資信託は近年とみに複雑になってきています。投資の仕組みやお金の流れが単純で一目で分かるものでなければ、それだけコストやリスクが高くなります。仕組みが理解できないものには手を出さないことです。
⑦【 運用方針】(ポートフォリオ)
マーケットの動きに対して運用にブレがないか。毎月の運用レポートなどでポートフォリオの騰落率をベンチマークと比較してみましょう。
⑧【信託期間】
信託期間が3年とか5年と比較的短いものは、マーケットの影響をもろに受けた時に運用成果が上がらないまま償還されてしまうこともあります。
⑨【信託金限度額】
信託金限度額が低いものは、それだけでコストなどを考えると運用の採算が取れているのか疑問が生じます。
⑩【報告・開示】
単に華美なパンフレットに惑わされることなく、最低限知りたいことが過不足なく、簡潔に書かれているか。そもそも商品の中身が分かりにくいものは購入に値しません。